着物の袖がついているところを肩線といいます。
これは洋服とは、かなり違う位置にあります。
洋服の肩は、もちろん、メーカーやデザインによってまちまちですが、おおかた、解剖学でとらえた身体の肩の位置とそんなに違いがありません。ところが、着物の肩線は、かなり腕の方に入り込んでいるように見えます。

だから、何?という話ですけど、ちょっと面白いことがあります。

感覚としての肩の位置ですね。これを考えるわけです。

試しにみなさん、腕を手の方から、触りながら、ちょっとづつ肩の方にいちかづけていってみると、ここからは、腕ではなく肩かな?って場所があります。さて、どのあたりでしょうか?感覚的な質感が、変わる場所ですね。

このように感覚としての肩は、洋服よりも着物の方が、近い場所にあるのではないでしょうか?

つまり、洋服は、解剖学てきにみた身体の構造にちかいところが、肩線であるのに対して、着物では、感覚的に捉えた、肩の位置に肩線があるというわけです。

面白いですよね。偶然かもしれませんが、身体感覚を文化のベースにしている日本では、なぜか着物が感覚を誘導する助けとしての機能をはたしているのかもしれません。

四十肩とか言って肩が上がらないなと感じたときは、着物を着て、この肩線を動かすように手を上げてみてください。多少は楽になると思いますよ。